ずっと気になっていた。

西野亮廣。

嫌われ芸人。
それが彼の代名詞である。

キングコングというお笑いコンビのツッコミ役。
炎上芸人としても知られている。

しかし、今は絵本作家として有名だ。

2016年に発表した「えんとつ町のプペル」は大ヒットを記録した。

以来、彼はビッグマウスぶりを発揮。

なかでも、「ディズニーを倒す」という発言はいろんなところで取り上げられた。

西野の経歴やエピソードについては、
ネットでググればいくらでも出てくるので、ここでは書かない。

今回取り上げるのは、
彼が2019年に行った近畿大学での卒業スピーチ。

テーマは「この世界に失敗なんて存在しない

ここで西野が語った言葉がとても心に残ったので、書いてみたいと思う。

誰かが世界を変えてくれるのを待つのか、それとも自分で世界を変えるのか?

これは西野が登場したときに言ったセリフ。

拍手が少なかったことに、学生にこう訴えた。

「それでいいのか?という話です。
あなた方には二つの選択肢があった。
1つは、キングコング西野をパラパラの拍手で迎える。
もう1つは、男は野太い声を出し、女は黄色い声を上げ、大歓声でキングコング西野を迎える」

一生に一度の卒業式を盛り上げるか盛り上げないか?
それはすべてあなたたちにかかっていると訴えたのだ。

そして、こう言った。

「誰かが世界を変えてくれるのを待つのか、それとも自分で世界を変えるのか?」

西野は登場のやり直しをして、大歓声を浴びるのである。

僕たちは今この瞬間に未来を変えることはできないけれど、過去を変えることはできる

西野が真骨頂を発揮するのは、芸人エピソードをいくつか披露して笑いを取った後。
「ここからイイ感じの話をします」と言って、語り出す。

想像してください。

僕たちは今この瞬間に未来を変えることはできません。
そうでしょ? 『10年後の未来を、今、この瞬間に変えて』と言われても、ちょっと難しい。

でも、僕たちは過去を変えることはできる。

過去を変えることはできる。

僕にはこの言葉に驚いた。

どういうこと?

すでに体験したことを変えることはできないはずだ。

西野はその理由について、こう語った。

たとえば、卒業式の登場に失敗した過去だったり、
たとえば、好感度が低い過去だったり、
たとえば、アホな相方を持ってしまった過去だったり、
たとえば、友達と一緒に恥をかいてしまった過去だったり。

そういった過去を、たとえば僕の場合ならネタにしてしまえば、あのネガティブだった過去が俄然、輝き出すわけです。

『登場に失敗して良かったな』と思えるし、
『嫌われていて良かったな』と思えるし、
『相方がバカで良かったな』と思えるし、
『友達と一緒に恥をかいて良かったな』と思える。

僕たちは今この瞬間に未来を変えることはできないけれど、過去を変えることはできる

スゴい。
僕は大きな衝撃を受けた。

「過去は振り返るな」
「昔のことは忘れろ」

といった、
ありきたりな人世相談とは真逆の回答。

僕には思いもつかなかった。

生き方を考えるときに、
「過去の自分を見つめ直す」
というアドバイスはこれまでにあった。

だが、西野はそれを「過去を変える」という考え方に昇華させて見せたのである。

彼は卒業生にこう訴えかける。

これから皆さんは社会に出ます。
様々な挑戦の末、
最高の仲間に出会えることもあるでしょうし、
最高のパートナーに巡り会えることもあるでしょうし、
最高の景色に立ち会うこともあるでしょう。

一方で、

涙する夜もあるし、
挫折もあるし、
傷を背負うし、
言われのないバッシングを浴びることもあるでしょう。
挑戦には、そういったネガティブな結果は必ずついてまわります。

でも、大丈夫。

そういったネガティブな結果は、まもなく過去になり、そして僕らは過去を変えることができる。

この世界に失敗なんて存在しない

西野はさらにこう続けた。

失敗した瞬間に辞めてしまうから失敗が存在するわけで、
失敗を受け入れて、
過去をアップデートし、
試行錯誤を繰り返して、
成功に辿りついた時、
あの日の失敗が必要であったことを僕らは知ります。
つまり、理論上、この世界に失敗なんて存在しないわけです。

このことを受けて、僕から皆さんに贈りたい言葉は一つだけです。

挑戦してください。

小さな挑戦から、世界中に鼻で笑われてしまうような挑戦まで。
皆さんにはたくさんの時間があるので、たくさん挑戦してください。

時計の針は必ず重なる

西野のスピーチは自らの絵本作品でしめくくられる。

『チックタック 約束の時計台』という絵本を取り上げ、時計の針の話をする。

時計の針って面白くて、長針と短針が約1時間ごとに重なるんです。
1時5分頃に重なって、2時10分頃に重なって…毎時重なるんですけど、でも、11時台だけは重ならないんです。

短針が逃げきっちゃう。
二つの針が再び重なるのは12時。

鐘が鳴る時です。

何が言いたいかと言うと、『鐘が鳴る前は報われない時間がありますよ』です。

僕にもありましたし、皆さんにも必ずあります。
人生における11時台が。

でも大丈夫。

時計の針は必ず重なるから。
だから、挑戦してください。

応援しています。頑張ってください。

イヤーもう見事と言うしかない。

あのスティーブ・ジョブズのスタンフォード大学卒業式での伝説のスピーチを彷彿させる。
そう言ってもオーバーではないくらいだ。

彼のスピーチには、
嫌われ芸人、炎上芸人としてバッシングを受けながら、独自の世界を切り開いた人生体験が凝縮されている。

西野の発言をもっと知りたい。
そう思った僕は調べてみた。

西野亮廣の名言

西野の発言には「常識」に疑問を投げかけるものが多い。

たとえば、
「好きなことで食っていけるほど人生は甘くない」と言う親父に対してはこう答えている。

「好きでもない仕事は、これからロボットが奪っていくんだから。
人間に残されたのは、『とても仕事とは呼べない好きなこと』しかない」

西野は絵本を出してからは、
親から「この本は子供にも理解できますか?」と質問されることが増えたという。

これに対し、彼はこう言っている。

「なにより勿体ないのが、分かるものだけを与えて、分からないものが分かる機会を奪っていることだよね。 『もう!そこが一番面白いのに!』と思ってしまう」

他にもこんな発言も……

「理性よりも本能に興味があって、何よりも、ギャルと子供が出す答えを信用しています」

そんな西野だが、論理的な一面も持ち合わせている。

「僕は、恐怖を取り除くのはポジティブシンキングではなくて、ロジカルシンキングだと思っています」

「行動することに、勇気は必要ない。必要なのは情報だ。情報がないから二の足を踏む」

「成功や失敗には、マグレも不運も存在しない。成功と失敗の裏にあるのは、理由と原因だけ」

西野は「人間関係」についての発言も多い。

「目を向けなきゃいけないのは、自分のことを嫌う人の数ではなく、自分のことを好いてくれる人の数」

「好き嫌いをすごくハッキリ言っていかないと、応援してくれる人や共感してくれる人は発生しない」

まとめ

お笑い芸人から絵本作家への転身を遂げた西野亮廣。

彼の魅力は何と言っても
「嫌われる」ことを楽しんでいること。

えっ、本音は違う?
演技なんじゃいかって?

いや、そうではない。

おそらく西野は気づいてしまったのだ。

何に?

嫌われることのすばらしさに。

西野は嫌われることで、
生きることを見つめ直し、
失敗をアップデートし、
絵本で才能を開花させた。

もし普通に芸人として売れていたら、
今の西野はなかったはずだ。

「この世界に失敗なんて存在しない」
そして、
「過去は変えられる」

この言葉でどれだけの人が救われることか。
ぜひあなたもかみしめて欲しい。

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