アップルの創業者スティーブ・ジョブズ。
彼は数々の名言を残しているが、中でも有名なのが2005年にスタンフォード大学で行った卒業スピーチだ。

このスピーチは伝説となっており、YouTubeなどにもアップされている。

そんなジョブズが学生たちに訴えたのは、
「点をつなげる」という話である。

人生の点と点はかならずつながる

「先を見て『点をつなげる』ことはできない。
できるのは、過去を振り返って『点をつなげる』ことだけなんです。
だから将来、その点がつながることを信じなくてはならない」

未来を予測することは不可能。
先を見て「点をつなげる」ことはできないが、
過去を振り返って「点をつなげる」ことはできる。

だから自分が信じれるものを信じるしかない。

これがジョブズの信念だった。

「根性、運命、人生、カルマ、何でもいいから信じること。
点がつながって道となると信じることで、心に確信が持てるんです。
たとえ人と違う道を歩むことになっても。
信じることで、すべてのことは、間違いなく変わるのです」

彼はこのやり方で後悔したことはなく、
人生で非常に大きな役割を果たしてきたと言っている。

アップルをクビになったのは人生最高の出来事だった

シリア人の父とアメリカ人の母の間に生まれたジョブズは、生後すぐに養子に出された。

少年時代はイジメにも遭い、大学も半年足らずで中退。
禅やヒッピー文化に心酔し、インドへの憧れを抱く若者だった。

しかし、これらの体験はすべて役に立ったと述懐している。

ジョブズは30歳の時、アップルから追放されるが、
このできごとについてもこう言っている。

「そのときはわからなかったのですが、
アップルをクビになったことが、最良のことだとわかったのです。
成功の重みが、すべてにおいて再び、ビギナーの軽さになりました。
このことで、最もクリエイティブな期間のひとつに入ることができました」

アップルを追われた彼は、ピクサーを創業し、
世界初のコンピュータアニメ映画を制作。

それが「トイ・ストーリー」である。

ピクサーは今や世界で最も成功しているアニメ制作会社となっている。

そして、アップル復帰後の快進撃はすでに広く知られるとおりだ。

一日一日を人生最後の日として生きよう

ジョブズはなぜここまで頑張ることができたのか?
その重要なキーワードが「死」だ。

彼は17歳の時に読んだ文章が生き方を決定づけたという。

「一日一日を人生最後の日として生きよう。
いずれその日が本当にやって来る」

以来、ジョブズは毎日鏡を見て自問自答したという。

「今日が人生最後だとしたら、今日やることは本当にやりたいことだろうか」

もしノーという答えが何日も続けば、何か変える必要がある。
そう考えたというのである。

ハングリーであれ。愚か者であれ

ジョブズはスタンフォード大学の卒業スピーチでこう語りかけている。

「君たちの時間は限られている。だから無駄に誰かの人生を生きないこと。
最も大事なことは、あなたの心や直感に従う勇気を持つことです。
それら内なる声、心、直感は、どういうわけか、君が本当に何になりたいのか、すでに知っているのです」

そして、こうしめくくった。

「ハングリーであれ。愚か者であれ」
Stay hungry, Stay foolish.

この言葉はジョブズの名言の中でももっとも有名なもののひとつだが、その意味するところが今ひとつよくわからないという人も多いようだ。

「ハングリーであれ」はわかりやすいが、
「愚か者であれ」はいろんな解釈がなされている。

愚か者=若者

つまり、「若さを持ち続けろ」という解釈。
若い感性と発想が大事という意味である。

そして、もうひとつが、
「分別くさくなるな」という解釈。

お利口さんになろうとするなよ。

世の中の意見や常識にとらわれていては何も生まれない。
常に疑ってかかれというメッセージだ。

実は、「Stay hungry, Stay foolish」は、
「全地球カタログ」というピッピー文化を扱った雑誌の最終号に書かれた言葉である。

実際、ジョブズの若い頃ピッピーに心酔していた。

このことから考えると、
「愚か者であれ」は「常識とらわれた分別くさい人間になるな」
それがジョブズの言いたかったことだと思っていいだろう。

ジョブズの名言で学べること

ということで、スティーブ・ジョブズの名言を取り上げた。
あなたはどう感じただろうか?

ジョブズは不幸にして、膵臓がんに冒され、56歳という若さでこの世を去ります。

彼が17歳のときに感銘を受けたという
「一日一日を人生最後の日として生きよう」

その言葉どおり、生き急いだ人生だった。

実は、ジョブズは親しい人だけにこう打ち明けていた。

「自分はおそらく長く生きられないだろう」

常に自問自答を繰り返し、最高を求める。

ジョブズは周りの人間にもそれを要求し、
耐えられなくなった多くの人間が彼の元を去って行った。

激情家で癇癪持ち。
偏屈で完璧主義者。

ジョブズの人間性を語るときによく使われる言葉である。

彼の生き方から我々は何を学べるのか?

「人生の点と点はかならずつながる。
だから自分の生き方を信じろ!」

それがジョブズの教えだ。

これは簡単に言えば、
「自分を信じる」
ということ。

自分を信じる。
何とありふれた言葉なのか?

自己啓発系の記事や書籍には
いやというほど書かれている言葉である。

しかし、ここで疑問にぶち当たる人も多いのでは?

それは「自分を信じれない」人はどうすればいいのか?
そもそも「自分を信じる」というのはどういうことなのか?

人はよくこんなことをいう。

「自分を信じれば大丈夫だから」
「絶対にできるから。自分を信じて」

「自分を信じる」って、確かに素敵な言葉だけど、逆に自分を苦しめることになりかねない。

「君ならかならずできるよ。だから自分を信じて」

この言葉が意味するところは、
「自分の努力や能力を信じて」ということでもある。

しかし、いくら努力しても叶わないことはあるし、能力だって、自分より能力のある人はいくらでもいる。

そう、「自分を信じる」というのは、実はとても難しい。

「人生の点と点はかならずつながる。
だから自分の生き方を信じろ!」

非常に聞こえのいい名言なのだが、
やはりこれは努力ができて才能がある人に向けたもの。

これは功成り名遂げたジョブズだからこそ言える言葉なのだ。

そもそも彼の言う人生の点で自分を信じて行動していない人が人生の点と点がつながるはずがない。

ひねくれた言い方かもしれないが、
僕はそう思ってしまう。

しかし、そんなことを言ってしまえば、あまりにも救いがない。

そこで、僕は考えてみた。

努力や才能に関係なく、「自分を信じる」方法はないのか、と。

そして、僕なりの結論に行き当たった。

それは……

失敗しても、努力できなくても、不幸な目に遭っても、「自分は大丈夫」と思える自分でいること。

そんなマイナスの自分を受け入れる。
それも「自分を信じる」ことなのだ、と。

才能や成功なんて、所詮ちっぽけなこと。
自分の人生にとってたいしたことじゃない。

何が起きても大丈夫な自分であると信じる。

そう思えるようになれば、
生きることはずっと楽になるし、
逆に前向きになれるのではないか。

ジョブズの名言はそんなことを考えさせてくれた。

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