「夢は大きい方がいい。見失わないから」
明石家さんまの名言である。

しかし、凡人の僕はこう思ってしまう。
「夢は大きすぎない方がいい。つかめないから」

大きな夢。それを実際手にする人はどれくらいいるだろうか。
多くの場合、夢は夢で終わる。

悲しいけど、それが人生だったりする。

しかし、夢を二度叶えようとする男がいる。

福岡堅樹。

ラグビーのトッププレーヤーとしてW杯で日本を初のベスト8に導いた男である。

彼はラストシーズンで優勝を果たし、MVPに輝き、ラグビー界を去った。
人気・実力の絶頂で引退するという、普通はありえない道を選んだのだ。

そして、今は医師という新たな夢を手に入れるため、勉学に励んでいる。

そんな福岡はこう言っている。

「自分の夢には妥協したくない」

「自分の夢には妥協したくない。後悔のない選択をしていった先にあるのが、結局、自分がなりたかった自分になれる」

なりたかった自分。

福岡県で生まれた彼は祖父は医師、父は歯科医師という家庭で育った。

幼い頃、祖父が患者に接する態度やかける言葉、町の人たちから信頼されている姿を間近で見て、こう思った。
「自分もこういう人になれたらいいな」

そして、将来は医学部に進むべく勉強しようと決めた。

しかし、福岡は医学部受験に二度失敗する。
そして、一浪後に筑波大学に入学した。

これが福岡の運命を変えることになる。

5歳からラグビーをやっていた彼は大学でラグビー部に入部。
その後めざましい活躍をすることになるが、要領のいい人間でもあった。

少年時代は遊ぶ時間を増やすため、学校で宿題を済ませるタイプ。
合理性や効率を追求し、結果を残してきた。

しかし、そこに立ちはだかったのが、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチだった。
体力配分を考え、常に全力を出し切らない姿勢をとがめられたのだ。

自分の生き方を完全否定された福岡はこう振り返っている。

「要領だけではこなせない領域にきた。本当に苦しかった」

以来、福岡は限界まで力を出し切るプレースタイルに変貌を遂げた。
そして、当落線上だった15年W杯の日本代表に滑り込んだ。

このときは出場1試合の「不完全燃焼」に終わったが、その後はめざましい成長を遂げ、日本ラグビー界のスピードスターと呼ばれるようになったのだ。

「クヨクヨしている時間があるなら前に進もう!」

福岡を一躍有名にしたのが、2019年ラグビーW杯。
彼は南アフリカとの最後のテストマッチで右足ふくらはぎを負傷する。

松葉杖姿で試合会場を後にするほどの重傷だった。

そこで自分に言い聞かせた言葉が「クヨクヨしている時間があるなら前に進もう!」だった。

すぐにリハビリを始めると、驚異的な回復力でW杯2戦目のアイルランド戦に途中出場。
勝負を決めるトライを奪ったのだ。

復活を遂げた福岡はこう言っている。

「それはそれでいいドラマになるよね」

そう、彼は決して下を向かない。常に前を見ているのだ。

医師を目指す福岡には大切にしている言葉がある。

「才能は社会に還元する責任がある」

祖父から言われた言葉である。

ラグビーで自らの夢を叶えた、その才能を今度は医師として社会のために使おうというわけである。

まとめ

自分のため、そして社会のため。
福岡は夢を二度叶えようとしている。

実にうらやましい男である。

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